整形外科では、全身の運動器(体を動かす骨、筋肉、関節、神経など)の痛み、ケガ、腫れ、動かしにくさ、しびれに対して診察と治療を行います。整形外科の疾患は多岐にわたります。早めに治療することで驚くほど生活の質が上がる場合もあります。このくらいの痛みで受診していいのかなと思わず、お困りの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
整形外科で診る主な疾患
頚椎椎間板ヘルニア
首の骨(頚椎)と骨の間には、クッションの役割をする「椎間板」があります。この椎間板の中身が後ろに飛び出し、近くを通る神経や脊髄を圧迫するのが頚椎椎間板ヘルニアです。首や肩甲骨まわりの痛みに加えて、腕や手のしびれ、指先の使いにくさ、力の入りにくさがあらわれます。30~50代の働き盛りの方に多く、長時間のデスクワークやスマートフォンの操作など、首に負担のかかる姿勢が続くことも一因と考えられています。
しびれの主な原因と検査
手のしびれは、首のヘルニアだけでなく、手首や肘で神経が圧迫される病気や、脳の病気、糖尿病などでも起こります。当院では、診察とレントゲンで首の状態を確認し、必要に応じてMRI検査で神経の圧迫の程度を詳しく調べます。脳や全身の病気が疑われる場合は、隣接するよしかわ脳神経・内科と連携して診ていきます。「どこに相談すればいいのかわからない」しびれも、まずは当院で受け止めます。
治療について
多くの場合、手術をせずに症状が落ち着いていきます。痛みが強い時期は、首を安静に保ちながら、痛み止めや神経の痛みをやわらげるお薬を使います。痛みが和らいできたら、牽引療法や温熱療法、理学療法士によるリハビリで首や肩まわりの筋肉の緊張をほぐし、負担のかかりにくい姿勢を身につけていきましょう。箸が使いにくい、ボタンがとめにくい、足がもつれるといった症状は、脊髄が圧迫されているサインかもしれません。その場合は、手術を行う医療機関へ速やかにご紹介します。
変形性頚椎症
年齢とともに椎間板がすり減ったり、骨のふちに「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲができたりして、首の骨が変形していく状態です。40代を過ぎると多くの方のレントゲンに変化が見られますが、変形があっても症状が出ない方も少なくありません。首のこりや痛み、動かしにくさが主な症状で、変形した骨が神経を刺激すると、腕や手にしびれが出ることもあります。痛み止めやリハビリで首まわりの筋肉をほぐしながら、首に負担をかけない姿勢や、枕の高さも一緒に見直していきましょう。
むち打ち症
交通事故や転倒、スポーツでの衝突などで、首がむちのようにしなり、筋肉や靭帯などが傷つく状態です。正式には「外傷性頚部痛」と呼ばれます。事故の直後は気が張っていて痛みを感じにくく、翌日以降に首の痛みや頭痛、めまい、吐き気、腕のしびれなどが出てくることがよくあります。「たいしたことはない」と思っても、事故にあったら早めに受診し、診察を受けておいてください。交通事故によるけがの治療や、自賠責保険の手続きについては「交通事故」のページをご覧ください。
頚椎症性神経根症
加齢で変形した首の骨や椎間板が、脊髄から枝分かれして腕へ向かう神経(神経根)を圧迫し、首から肩、腕、手にかけて痛みやしびれが出る病気です。多くは左右どちらか片側に症状があらわれ、首を後ろに反らせたときや、痛む側に傾けたときに、腕へ響くような痛みが強くなるのが特徴です。お薬やリハビリ、牽引療法などで、数か月のうちに落ち着いていくことがほとんどです。つらい時期は、上を見上げる動作や、うつ伏せで本を読む姿勢は避けましょう。しびれが長引く、握力が落ちてきたと感じるときは、MRI検査で神経の状態を詳しく確認します。
寝違え
朝起きたら首が痛くて回らない。そんな経験をお持ちの方は多いと思います。寝違えは、不自然な姿勢で長く眠ったことなどで首の筋肉や関節に負担がかかり、炎症が起きている状態です。多くは数日から1週間ほどで自然に良くなります。痛めた直後は、無理に首を回したり、強くもんだりせず、楽な姿勢で過ごしてください。なかなか痛みが引かない、腕にしびれがある、熱が出ているといった場合は、寝違え以外の原因も考えられます。そのときは一度診せてください。
ストレートネック
本来、首の骨はゆるやかに前へカーブしていて、重い頭を支える負担を分散しています。このカーブが失われ、まっすぐに近くなった状態がストレートネックです。スマートフォンやパソコンを見るときの、頭が前に出てうつむいた姿勢が続くことが大きな原因とされ、首や肩のこり、頭痛、目の疲れにつながります。リハビリでは、首まわりや背中の筋肉をほぐし、姿勢を支える筋肉を鍛えていきます。画面を目の高さに近づける、30分に一度は顔を上げるなど、毎日の小さな工夫も大切です。
肩関節周囲炎(四十肩、五十肩、凍結肩)
「腕を上げると肩が痛い」「背中に手が回らない」「夜、肩がうずいて目が覚める」。40~60代に多いこうした症状は、肩関節周囲炎、いわゆる「四十肩」、「五十肩」、「凍結肩」かもしれません。加齢などをきっかけに肩関節のまわりの組織に炎症が起き、痛みと動かしにくさがあらわれます。はっきりした原因がないまま、いつの間にか始まることが多いのも特徴です。
症状の経過
「四十肩」、「五十肩」、「凍結肩」は、痛みが強い「炎症期」、肩が固まって動かしにくくなる「拘縮期」、少しずつ動きが戻ってくる「回復期」と経過していきます。炎症期は無理に動かさず、痛み止めや注射で痛みを抑えることを優先します。痛みが落ち着いてきたら、温熱療法で肩を温めながら、理学療法士と一緒に少しずつ動く範囲を広げていきましょう。この時期のリハビリをおろそかにすると、肩の動きが悪いまま残ってしまうことがあります。
異なる病気の場合も・・・
肩の痛みの原因は、肩関節周囲炎だけではありません。腱板断裂や石灰沈着性腱板炎など、治療の方法が異なる病気でも、よく似た症状が出ます。まれに、首の病気や内臓の病気が、肩の痛みとしてあらわれることもあります。自己判断で我慢したり、痛いのに無理に動かしたりする前に、まずは原因を確かめることから始めましょう。
肩こり
首から肩、背中にかけての筋肉がこわばり、重だるさや痛みを感じる状態です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、運動不足、冷え、ストレスなどが重なって起こります。多くの方が「いつものこと」と慣れてしまっていますが、慢性的なこりは、頭痛や目の疲れ、集中力の低下にもつながります。
病気が隠れている可能性もあります
肩こりの多くは筋肉の疲れによるものですが、なかには頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症などの首の病気、五十肩などの肩関節の病気が隠れていることがあります。まれに、心臓の病気などが、肩や首の違和感としてあらわれることもあります。手のしびれをともなう、急にこりがひどくなったという場合は、一度きちんと診察を受けてください。必要に応じて、隣接するよしかわ脳神経・内科とも連携して原因を探ります。
毎日できる肩こり対策
同じ姿勢は30分~1時間を目安に区切り、肩をすくめてストンと落とす、肩甲骨を大きく回すなど、こまめに体を動かしましょう。湯船につかって体を温めるのもおすすめです。当院では、温熱療法や電気治療で筋肉の緊張をやわらげるとともに、理学療法士が姿勢や体の使い方を確認し、ご自宅でできるストレッチをお伝えしています。「肩こりくらいで受診していいのかな」と遠慮せず、そのつらさを聞かせてください。
肩腱板(かたけんばん)断裂
腱板とは、肩の奥で腕の骨(上腕骨)の頭を包み込むように付いている、4つの筋肉の腱の集まりです。腕を上げたり、ひねったりする動きを支えています。転倒や重い物を持ったことをきっかけに切れることもあれば、年齢とともにすり減り、気づかないうちに切れていることもあります。60代以上の方に多く、腕を上げる途中で痛む、夜に痛む、腕に力が入りにくいといった症状があらわれます。
肩関節周囲炎との違い
症状が似ているため、肩関節周囲炎(四十肩、五十肩、凍結肩)だと思い込んでいる方も少なくありません。腱板断裂では、自分では腕が上がりにくくても、ほかの人に腕を持ち上げてもらうと肩が上がることが多いのが特徴です。レントゲンには腱が写らないため、診察で筋力や動きを確かめ、必要に応じてMRI検査で断裂の有無や大きさを調べます。断裂があっても、リハビリで肩まわりの残っている筋肉を鍛えることで、日常生活を送れるようになる方も多くいらっしゃいます。若い方や、仕事やスポーツで肩をよく使う方、断裂が大きい方は、手術も選択肢になるため、専門の医療機関へご紹介します。
石灰沈着性腱板炎
肩の腱板にカルシウムの結晶(石灰)がたまり、そこに強い炎症が起こる病気です。40~50代の女性に多く、夜中から明け方にかけて突然、肩に激痛が走り、腕を動かせなくなるのが典型的な症状です。あまりの痛みに驚いて来院される方も多いのですが、レントゲンで石灰を確認し、炎症を抑える注射や痛み止めを使うことで、比較的早く痛みが落ち着いていきます。痛みが強いときは我慢せず、その日のうちに受診してください。
肩関節脱臼
転倒やスポーツでの接触などで、肩の関節が外れてしまう状態です。肩は体の中でも脱臼しやすい関節で、ラグビーや柔道、バスケットボールなどのスポーツでよく起こります。まずは関節を元の位置に戻し、一定期間、三角巾などで固定します。若い方は、一度脱臼すると繰り返しやすい「反復性肩関節脱臼」になりやすいため、競技への復帰は焦らず、リハビリで肩まわりの筋肉をしっかり鍛えることが大切です。無理に自分で戻そうとせず、腕を楽な位置で支えながら受診してください。脱臼を繰り返す場合は、手術について専門の医療機関と連携します。
肘部管症候群
肘の内側を通る「尺骨神経」が圧迫されたり、引っ張られたりして、小指と薬指の小指側にしびれが出る病気です。進行すると手の筋肉がやせて、細かい作業がしにくくなったり、指をまっすぐ伸ばしにくくなったりします。加齢による肘の変形、子どもの頃の肘の骨折、仕事やスポーツでの肘の使いすぎなどが原因になります。肘を長く曲げたままにしないことが、症状を悪化させない工夫の一つです。しびれが首や脳の病気によるものでないかも含めて見きわめ、必要に応じて隣接するよしかわ脳神経・内科とも連携します。
肘内障(ちゅうないしょう)
「子どもの手を引っ張ったら、急に泣き出して腕を動かさなくなった」。これは、主に1~5歳ごろの小さなお子さんに起こる肘内障かもしれません。肘の骨を支えている靭帯から、骨が少しずれかかった状態で、お子さんは腕をだらんと下げたまま動かそうとしなくなります。多くは診察室での数秒の整復で、すぐにまた腕を使えるようになります。癖になりやすいので、治ったあとも、お子さんの手や腕を急に強く引っ張らないようにしてあげてください。転んだあとなど、骨折の可能性がある場合は、レントゲンで確認します。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
物をつかんで持ち上げる、タオルを絞る、ドアノブを回す。こうした動作で肘の外側が痛む場合は、上腕骨外側上顆炎、いわゆるテニス肘が考えられます。手首を反らす筋肉が付いている肘の外側に、繰り返し負担がかかって起こる炎症です。テニスをする方だけでなく、パソコン作業や家事、力仕事などで手をよく使う30~50代の方に多く見られます。
治療とセルフケア
まずは、手首や指に負担のかかる動作をできるだけ減らし、肘を休ませることが基本です。痛みに応じて、湿布や塗り薬、注射を使います。リハビリでは、前腕の筋肉のストレッチと、超音波などの物理療法を組み合わせます。物を持つときは手のひらを上に向ける、肘の少し下に専用のバンドを巻くといった工夫でも、痛みがやわらぎやすくなります。長引くことも多い病気なので、あせらずに付き合っていきましょう。
上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
肘の内側が痛むのが、上腕骨内側上顆炎です。手首を曲げたり、指を握ったりする筋肉が付いている部分に、繰り返し負担がかかって起こります。ゴルフのほか、野球、テニス、重い物を持つ仕事なども原因になります。治療はテニス肘と同じく、肘を休ませながら、ストレッチや物理療法、必要に応じて注射を行います。なお、小・中学生が野球などで肘の内側を痛がる場合は「野球肘」の可能性があります。成長途中の骨や軟骨に関わるため、投げられるうちに一度連れてきてあげてください。
手根管(しゅこんかん)症候群
手首の中央にある「手根管」というトンネルの中で、正中神経が圧迫される病気です。親指から薬指の親指側にかけてしびれや痛みが出て、明け方にしびれで目が覚める、手を振ると楽になる、といった特徴があります。妊娠・出産期や更年期の女性に多く、手をよく使う仕事、糖尿病、人工透析なども関係します。しびれを我慢しているうちに、親指の付け根の筋肉がやせて、ボタンをとめる、小銭をつまむといった動作が難しくなることがあります。手首を軽くたたいたり曲げたりして、しびれの出方を確かめます。必要に応じて電気刺激による神経検査も行うこともあります。
治療について
初期のうちは、夜間に手首を固定するサポーターや、飲み薬、手根管への注射で様子をみます。手の使いすぎが原因になっている場合は、作業の合間に手を休める工夫も大切です。こうした治療で良くならない場合や、筋肉のやせが進んでいる場合は手術を検討し、手の外科を専門とする医療機関へご紹介します。
腱鞘炎(ばね指・ドケルバン病)
指や手首を動かす腱は、「腱鞘」というトンネルの中を通っています。手の使いすぎなどで腱や腱鞘が厚くなり、こすれて炎症が起こるのが腱鞘炎です。代表的なものに、指の付け根が痛み、指を曲げ伸ばしするとカクンと引っかかる「ばね指」と、手首の親指側が痛む「ドケルバン病」があります。
こんな方に多く見られます
妊娠・出産期や更年期の女性、パソコンやスマートフォンをよく使う方、家事や育児、仕事で手を酷使する方に多く見られます。赤ちゃんの抱っこで手首を痛めるお母さんも少なくありません。また、糖尿病や関節リウマチのある方にも起こりやすいため、いくつもの指に症状がある場合は、それらの病気が隠れていないかも含めて話をお聞きします。
治療について
まずは手を使う量を減らし、テーピングやサポーターで患部を休ませます。痛みが強い場合は、腱鞘に炎症を抑える注射を行います。注射をしても繰り返す場合や、指が曲がったまま伸びなくなった場合は、腱鞘を切り開く手術を検討します。手術が必要と診断した場合は、専門医療機関へご紹介します。
突き指
ボールが指先に当たったり、転んで手をついたりして、指の関節を痛めるけがです。バレーボールやバスケットボール、ソフトボールなど、球技をするお子さんによく起こります。「突き指くらいで」と軽く見られがちですが、骨折や靭帯の損傷、指を伸ばす腱が切れて指先が曲がったままになる「マレットフィンガー」が隠れていることがあります。痛めた直後は、患部を冷やして安静にしてください。昔から言われる「引っ張って治す」は、けがを悪化させることがあるので絶対にやめましょう。腫れが強い、指が伸びない、曲がって見えるといった場合は、早めにレントゲンで確認することが大切です。院長は地域のミニバスケットボールチームやソフトボールチームで、突き指についてのレクチャーも行ってきました。是非ご相談ください。
母指CM関節症
親指の付け根の、手首に近い部分にある関節(CM関節)の軟骨がすり減り、痛みや変形が起こる病気です。ペットボトルのふたを開ける、洗濯ばさみをつまむ、鍵を回すなど、親指に力を入れる動作で痛むのが特徴で、更年期以降の女性に多く見られます。治療は、親指を固定する装具やテーピングで関節を安定させ、痛みに応じてお薬や注射を使います。瓶のふたはオープナーを使うなど、親指に頼りすぎない道具選びも、痛みを減らす工夫の一つです。
へバーデン結節
指の第一関節(爪に近い関節)が赤く腫れたり、骨が出っ張ってコブのように変形したりする病気です。はっきりした原因はわかっていませんが、40代以降の女性に多く、更年期の女性ホルモンの変化との関わりも指摘されています。痛みは腫れている時期に強く、変形が落ち着くと和らいでいくことが多いです。
関節リウマチとの違い
「指が変形してきたけれど、リウマチではないか」と心配して受診される方もいらっしゃいます。へバーデン結節と関節リウマチは、痛みの出やすい関節や、レントゲン、血液検査の結果が異なります。治療は、テーピングや装具で関節を保護し、痛みが強いときは塗り薬や飲み薬、注射で炎症を抑えます。
ガングリオン
手首の甲側や手のひら側、指の付け根などにできる、ゼリー状の中身が詰まったコブです。米粒ほどの小さなものから、ピンポン玉ほどの大きさのものまであり、若い女性に多く見られます。良性のもので、痛みがなければ、治療をせずに様子を見ることもできます。神経を圧迫して痛みやしびれが出ている場合や、見た目が気になる場合は、注射器で中身を吸い出す処置を行います。再発することもありますが、ほかの腫瘍との区別も含めて確かめておくと安心です。「このしこりは何だろう」と思ったら、お診せください。
胸椎椎間板ヘルニア
背骨(胸椎)の椎間板(骨と骨の間のクッションとなる軟骨)が飛び出し、神経や脊髄を圧迫する病気です。胸椎は肋骨に支えられて動きが少ないため、首や腰のヘルニアに比べると、発症するのはまれです。背中や胸、お腹まわりに帯状の痛みやしびれが出るほか、脊髄が圧迫されると、足のしびれや歩きにくさがあらわれます。内臓の病気と間違われやすいため、診察とMRI検査で神経の状態を確認します。足の症状が進む場合は、手術を行う医療機関へご紹介します。
側弯症
背骨が左右に曲がり、ねじれてしまう状態です。多くは原因がはっきりしない「特発性側弯症」で、特に小学生から中学生の女の子に多く見られます。痛みがないまま進むことが多く、学校の検診で指摘されて初めて気付くケースがほとんどです。成長期に進行しやすいため、定期的にレントゲンで曲がり具合を確認し、曲がりが大きくなってきた場合は、装具療法や専門の医療機関へのご紹介を検討します。お風呂上がりなどに、お子さんの肩の高さや、前かがみになったときの背中の盛り上がりに左右差がないか、ときどき見てあげてください。
脊髄損傷
交通事故や高い所からの転落、スポーツでの事故などで背骨に大きな力が加わり、背骨の後ろにある脊髄が傷つく状態です。損傷の場所や程度によって、手足のまひやしびれ、排尿・排便の障害などがあらわれます。けがの直後は、救急病院での治療が必要です。当院では、急性期の治療を終えた方の、日常生活に向けたリハビリや、しびれ・痛みの治療、定期的な経過観察を行います。ご高齢の方は、転倒などの小さなけがでも脊髄を痛めることがあります。転んだあとに手足がしびれる、力が入らないというときは、すぐに救急病院を受診してください。
脊椎椎体骨折、圧迫骨折
背骨の一つひとつの骨(椎体)が、つぶれるように折れる骨折です。ご高齢の方、特に骨粗しょう症のある方は、尻もちをついた、重い物を持ち上げた、くしゃみをしたといった小さなきっかけでも起こります。「いつの間にか骨折」とも呼ばれ、ぎっくり腰だと思っていたら骨折だった、ということも少なくありません。
治療について
多くの場合、コルセットで背中〜腰を固定し、痛み止めを使いながら骨がつくのを待ちます。寝たきりにならないよう、痛みに合わせて少しずつ体を起こし、動いていくことも大切です。痛みが長引く場合や、骨のつぶれが進む場合は、手術を行う医療機関へご紹介します。
次の骨折を防ぐために
一度背骨を骨折すると、ほかの骨も続けて折れやすくなることがわかっています。骨折の治療と並行して、骨密度検査で骨の状態を調べ、骨粗しょう症の治療を始めることが、次の骨折を防ぐための大切な一歩です。当院では、DEXA法にて正確な骨密度測定が可能です。背中が丸くなってきた、身長が縮んだと感じる方も、一度骨の状態を確かめてみましょう。詳しくは「骨粗しょう症」のページをご覧ください。
肋骨骨折
転んで胸を打つ、スポーツでぶつかる、咳を繰り返すなどして起こる骨折です。深呼吸や咳、くしゃみ、寝返りのときに、胸に鋭い痛みが走ります。ひびのような骨折はレントゲンに写りにくいこともあるため、痛む場所を押して確かめる診察も大切にしています。多くはバストバンドで胸を固定し、痛み止めを使いながら、3~4週間ほどで骨が治っていきます。息苦しさが強い場合は、肺を傷つけている可能性もあるため、急いで受診してください。骨粗しょう症のある方は、軽い咳だけで折れることもあります。
腰椎椎間板ヘルニア
背骨の腰の部分で、椎間板(骨と骨の間のクッションとなる軟骨)の中身が飛び出し、神経を圧迫する病気です。腰の痛みとともに、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて、電気が走るような痛みやしびれ(坐骨神経痛)があらわれます。20~40代の比較的若い世代に多く、重い物を持ち上げる動作や、前かがみ・座りっぱなしの姿勢、スポーツなどがきっかけになります。
まずは薬物療法、リハビリから
飛び出したヘルニアは、時間の経過とともに体に吸収されて小さくなることがあり、多くの方は手術をせずに症状が落ち着いていきます。痛みが強い時期は、痛み止めや神経の痛みをやわらげる薬、注射で痛みを抑えながら、無理のない範囲で過ごします。痛みが落ち着いてきたら、理学療法士によるリハビリで、腰に負担をかけにくい体の使い方や、体幹の筋肉を鍛える運動に取り組みましょう。
すぐに受診してほしい症状
足に力が入らない、つま先立ちやかかと歩きができない、尿や便が出にくい、お尻のまわりの感覚がにぶいといった症状は、神経が強く圧迫されているサインです。このような場合は、MRI検査で状態を確認し、手術を行う医療機関へ速やかにご紹介します。
腰痛
腰痛は、多くの方が一生のうちに一度は経験する、とても身近な悩みです。ところが、その多くは、レントゲンなどの検査をしてもはっきりした原因が見つからない「非特異的腰痛」といわれています。姿勢や筋肉の疲れ、運動不足、ストレスなどが、複雑に関わっています。
注意が必要な腰痛
一方で、骨折や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの病気、まれに内臓の病気、感染症などが原因で腰が痛むこともあります。じっとしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める、発熱や体重減少をともなう、足のしびれや力の入りにくさがあるといった場合は、早めに受診してください。
腰痛と上手に付き合うために
原因のはっきりしない腰痛は、安静にしすぎるより、痛みの範囲で普段どおりに動いたほうが回復しやすいことがわかっています。当院では、痛みに応じたお薬や物理療法に加えて、理学療法士が姿勢や体の使い方、筋肉の硬さを評価し、ご自身で続けられる運動をお伝えします。繰り返す腰痛に悩んでいる方こそ、体の使い方から一緒に見直していきましょう。
ぎっくり腰
重い物を持ち上げた瞬間や、顔を洗おうと前かがみになったときなどに、腰に激痛が走って動けなくなる状態です。正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、腰の筋肉や関節、椎間板などを痛めて起こります。発症直後は無理をせず、楽な姿勢で休んでください。痛みが少し落ち着いたら、寝ているよりも、できる範囲で動いたほうが早く良くなりやすいといわれています。多くは1~2週間ほどで改善しますが、足にしびれがある、痛みがどんどん強くなる、骨粗しょう症があるといった場合は、ヘルニアや骨折の可能性もあるため、早めに受診してください。何度も繰り返す方は、リハビリで再発しにくい体づくりに取り組みましょう。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の中にある神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される病気です。加齢による骨や靭帯の変化が主な原因で、50代以降に多く見られます。代表的な症状が「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」で、しばらく歩くと足にしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し前かがみになったり休憩すると、また歩けるようになります。
足のしびれの原因
歩くと足が痛む症状は、足の血管が狭くなる病気(閉塞性動脈硬化症)でも起こります。また、足のしびれには、糖尿病による神経障害や、脳の病気が関わっていることもあります。当院では、診察や、必要に応じたMRI検査で腰の神経の状態を確認するとともに、隣接するよしかわ脳神経・内科と連携し、持病や全身の状態も含めて原因を見きわめていきます。
治療について
神経の血流を良くする薬や痛み止め、注射で症状をやわらげながら、リハビリで足腰の筋力や柔軟性を保ちます。自転車こぎのような前かがみの姿勢でできる運動は、症状が出にくく、続けやすいのでおすすめです。歩くときにシルバーカーや杖を使うと、楽に歩ける距離が延びることもあります。必要に応じて、他の医療機関と連携を取りながら治療を進めていきます。
腰椎分離症
腰の骨の後ろ側にある細い部分に、疲労骨折が起こる病気です。体がまだ成長途中の中学生・高校生のスポーツ選手に多く、ジャンプや腰をひねる動作、背中を反らす動作の繰り返しが原因になります。運動中や腰を反らしたときの腰痛が主な症状です。初期であれば、運動を休み、コルセットで固定することで、骨がつくことが期待できます。レントゲンには写りにくい初期の骨折も、MRI検査で見つけることができます。「成長痛だろう」「練習を休みたくない」と我慢しているうちに、骨がつかなくなってしまうこともあります。腰痛が2週間以上続くお子さんは、早めに連れてあげてきてください。練習への復帰の時期は、ご家族や指導者の方とも相談しながら決めていきます。
変形性股関節症
股関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが出る病気です。日本では、生まれつき股関節の受け皿(臼蓋)が浅い「臼蓋形成不全」が原因になることが多く、40~50代以降の女性に多く見られます。はじめは立ち上がりや歩き始めに脚の付け根が痛む程度ですが、進行すると、靴下がはきにくい、足の爪が切りにくい、長く歩けないといった、日常の困りごとが増えていきます。
早いうちから始めたいリハビリ
すり減った軟骨を元に戻すことはできませんが、股関節まわりの筋肉を鍛え、関節の動きを保つことで、痛みをやわらげ、進行をゆるやかにすることが期待できます。理学療法士と一緒に、股関節に負担をかけにくい運動や歩き方、体重の管理に取り組みましょう。プールでの水中ウォーキングもおすすめです。痛みが強く、日常生活への影響が大きい場合は、人工股関節などの手術を検討し、手術を行う医療機関へご紹介します。
特発性大腿骨頭壊死症
太ももの骨の先端(大腿骨頭)への血流が途絶え、骨の一部が壊死してしまう病気です。はっきりした原因はわかっていませんが、ステロイド薬の使用や、お酒をたくさん飲む習慣との関わりが指摘されており、国の指定難病にもなっています。壊死が起きただけでは痛みはなく、骨がつぶれてきたときに、脚の付け根に急な痛みがあらわれます。早い段階ではレントゲンで見つけにくいため、MRI検査が診断の手がかりになります。ステロイドの治療を受けている方や、お酒を飲む量が多い方で、脚の付け根が痛む場合は、早めにご相談ください。治療が必要な場合は、専門の医療機関と連携して診ていきます。
大腿骨頚部骨折
太ももの骨の、股関節に近い部分(頚部)の骨折です。骨粗しょう症のあるご高齢の方は、つまずいて転んだり、尻もちをついたりしただけで起こることがあります。脚の付け根が痛んで立てない、歩けないといった症状が出ます。多くの場合、手術が必要になるため、入院治療ができる病院へご紹介します。ご高齢の方にとって、この骨折は寝たきりのきっかけになりやすい、寿命を縮めてしまう重いけがです。退院後に歩く力を取り戻すためのリハビリと、骨粗しょう症の治療で次の骨折を防ぐことにも、当院では力を入れて取り組んでいます。
大腿骨寛骨臼インピンジメント
股関節を深く曲げたり、ひねったりしたときに、太ももの骨と骨盤の受け皿のふちがぶつかり、関節の軟骨や「関節唇(かんせつしん)」という組織を傷めてしまう状態です。サッカーや野球、ダンス、武道など、股関節を大きく動かすスポーツをする若い方や、活動的な方に多く見られます。しゃがみ込む、あぐらをかく、車の乗り降りといった動作で、脚の付け根に痛みや引っかかる感じが出ます。リハビリで股関節まわりの柔軟性と筋力のバランスを整え、痛みが出る動作を見直していきます。
大転子滑液包炎
太ももの外側、腰の横の少し下あたりにある骨の出っ張り(大転子)の上で、摩擦をやわらげるクッションの袋(滑液包)に炎症が起こった状態です。太ももの外側が痛み、痛む側を下にして横になれない、階段を上るとつらいといった症状が出ます。中高年の女性や、ランニングをする方に多く見られます。痛み止めや注射、お尻や太ももの外側の筋肉のストレッチを組み合わせて治療します。股関節や腰の病気と症状が似ているため、痛みの原因をきちんと確かめることが大切です。
変形性膝関節症
膝の関節の軟骨がすり減り、炎症や変形が起こる病気です。加齢や体重の増加、O脚、過去のけがなどが関係し、50代以降の女性に特に多く見られます。はじめは立ち上がりや歩き始めに膝がこわばったり痛んだりする程度ですが、進行すると、正座や階段の上り下りがつらくなり、膝に水がたまることもあります。
膝が痛くて、動かなくなる前に
膝が痛いと、つい動くのがおっくうになります。ところが、動かない時間が増えると太ももの筋肉が弱り、膝を支える力が落ちて、さらに痛みが出やすくなる。そんな悪循環に陥りがちです。痛みをやわらげながら、「動ける体」を保つことを大切に、治療やリハビリに取り組みます。
治療について
痛み止めの飲み薬や湿布、膝の動きをなめらかにするヒアルロン酸の関節内注射で、痛みを抑えます。あわせて、理学療法士と一緒に、太ももの筋肉を鍛える運動や、膝に負担をかけにくい歩き方の練習を続けていきましょう。温熱療法などの物理療法や、足底板(靴の中敷き)、サポーターを取り入れることもあります。体重を少し減らすだけでも、膝への負担は軽くなります。こうした治療を続けても痛みが強く、日常生活が難しい場合は、手術を行う医療機関へご紹介します。
靭帯損傷
膝には、骨と骨をつなぎ、関節がぐらつかないように支える前後・両サイド合わせて4本の靭帯があります。スポーツでのジャンプの着地や急な方向転換、相手との接触、交通事故などで、これらの靭帯が伸びたり切れたりするのが靭帯損傷です。なかでも前十字靭帯と内側側副靭帯を痛めることが多く、けがをした瞬間に「ブチッ」という音がした、膝がガクッと外れるような感じがする、といった症状があらわれます。
前十字靭帯は、切れていても腫れが引くと歩けるようになるため、そのままにされてしまうことがあります。しかし、靭帯が機能しないまま運動を続けると、膝くずれを繰り返し、半月板や軟骨まで傷めてしまうことがあります。レントゲンには靭帯が写らないため、診察で膝のぐらつきを確かめ、MRI検査で損傷の場所と程度を詳しく調べます。
治療と、スポーツへの復帰
内側側副靭帯の損傷は、多くの場合、装具で膝を保護しながらリハビリを行うことで回復が期待できます。前十字靭帯が切れ、スポーツへの復帰を目指す場合は、靭帯を再建する手術が必要になることが多いため、手術を行う医療機関へご紹介します。手術の前後のリハビリは当院でも行い、認定スポーツ医として、競技に戻る時期を一緒に考えていきます。
半月板損傷
半月板は、膝の関節の中にある三日月の形をした組織で、衝撃をやわらげるクッションと、関節を安定させる役割を担っています。若い方はスポーツでのひねりや着地で、中高年の方は、年齢とともに傷みやすくなった半月板が、しゃがむ・立ち上がるといった日常の動作で傷つきます。
このような症状はありませんか
- 膝の曲げ伸ばしで痛みや引っかかりを感じる
- 膝の中で何かが挟まるような感じがする
- 急に膝が動かなくなる(ロッキング)
- 膝に水がたまって腫れる
- 階段を下りる、しゃがむ動作がつらい
治療について
半月板はレントゲンに写らないため、MRI検査で損傷の状態を確認します。痛みや腫れが強い時期は安静にし、薬や注射、関節にたまった水を抜く処置で症状を抑えます。そのうえで、太ももの筋肉を鍛え、膝への負担をやわらげるリハビリを進めていきます。ロッキングを繰り返す場合や、症状が改善しない場合は、関節鏡を使った手術を検討し、手術を行う医療機関へご紹介します。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下にある腱に、繰り返し負担がかかって炎症が起こる病気です。バレーボールやバスケットボール、陸上の跳躍種目など、ジャンプを繰り返すスポーツをする10~20代の方に多く見られます。ジャンプの踏み切りや着地、ダッシュのときに、膝のお皿の下が痛みます。治療は、練習量を調整して腱を休ませながら、太ももの前後の筋肉のストレッチや、着地の仕方を見直すリハビリを行います。私自身、学生時代はバレーボールに打ち込んでいたので、「練習を休みたくない」「試合に出たい」という気持ちはよくわかります。痛みを我慢して続けるより、今どこまで動いていいのかを一緒に決めていきましょう。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)
太ももの外側を通る「腸脛靭帯」が、膝の外側の骨の出っ張りとこすれて炎症が起こる状態です。長距離ランナーや自転車競技をする方、急に走る距離を増やした方に多く見られます。走り始めは平気でも、しばらく走ると膝の外側が痛くなり、休むと治まるのが特徴です。走る量を調整しながら、お尻や太ももの外側のストレッチ、筋力トレーニングで体のバランスを整えていきます。すり減ったシューズや、下り坂の多いコースなど、走る環境も見直してみましょう。
オスグッド病
小学校高学年から中学生ごろの、成長期にスポーツをするお子さんに多い病気です。膝のお皿の下にある骨の出っ張り(脛骨粗面)が、太ももの筋肉に繰り返し引っ張られることで、痛みや腫れが出て、出っ張りが大きくなってきます。サッカーやバスケットボール、バレーボールなど、ジャンプやダッシュ、キックの多いスポーツで起こりやすく、身長が急に伸びる時期は特に注意が必要です。
「成長痛だから」とそのままにしないで
オスグッド病は、成長が落ち着くとともに症状が治まっていくことが多い病気です。ただ、痛みを我慢して練習を続けると、痛みが長引いたり、大人になっても骨の出っ張りや痛みが残ったりすることがあります。痛みが強い時期は運動量を減らし、太ももの前側のストレッチをこまめに行いましょう。リハビリでは、お子さんの体の硬さや動き方を確認し、練習の前後にできるストレッチをお伝えします。どこまで練習を続けてよいかは、保護者の方や指導者の方とも相談しながら考えていきます。
シンスプリント
すねの内側の、下3分の1あたりに痛みが出る病気です。ランニングやジャンプを繰り返すことで、すねの骨を覆う膜(骨膜)などに炎症が起こります。陸上競技やサッカー、バスケットボールなどをする中高生に多く、新入部員が急に練習量を増やす春先や、硬いグラウンドで練習する時期によく見られます。痛みが軽いうちに練習量を調整し、ふくらはぎのストレッチや足裏の筋肉のトレーニング、練習後のアイシングを行いましょう。扁平足や、すり減ったシューズも原因になります。痛みが強くなってきた、一か所を押すと強く痛むという場合は、疲労骨折の可能性もあるため、早めに受診してください。
脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)疲労骨折
一度に大きな力が加わって折れる骨折とは違い、同じ場所に小さな負担が繰り返しかかることで、骨にひびが入る骨折です。ランニングやジャンプを繰り返すスポーツ選手に多く、すねの骨(脛骨・腓骨)によく起こります。運動中や運動後に、すねの一か所がピンポイントで痛むのが特徴です。初期はレントゲンに写らないことが多いため、症状から疑い、必要に応じてMRI検査で確認します。治療の基本は、骨に負担のかかる運動をしばらく休むことです。練習を再開する時期は、骨の状態を確認しながら、段階的に決めていきましょう。
足関節捻挫
足首をひねって、足首を支える靭帯を傷めるけがです。スポーツ中だけでなく、段差を踏み外す、ヒールでバランスを崩すといった日常のちょっとした場面でも起こります。ほとんどは足首を内側にひねって、外くるぶしの前にある靭帯を傷めるものです。
痛めた直後は、運動を中止して足首を安静にし、氷で冷やし、包帯などで軽く圧迫して、足を心臓より高く上げておきましょう。受診後は、損傷の程度に合わせて、サポーターやテーピング、ギプスなどで足首を保護します。痛みが落ち着いたら、足首の動きや筋力、バランス感覚を取り戻すリハビリを行い、再発しにくい足首をつくっていきます。
軽い捻挫でも受診をおすすめします
よくあるけがだけに、湿布を貼って様子を見る方が少なくありません。しかし、靭帯がゆるんだまま治ってしまうと、捻挫を繰り返しやすくなったり、将来、足首の軟骨が傷んで痛みが残ったりすることがあります。また、お子さんの場合は、靭帯ではなく、骨の端がはがれる骨折が隠れていることもあります。腫れや痛みが強い、体重をかけられないといった場合は、レントゲンで骨折がないかを確かめましょう。院長はこれまで、地域の小学校やスポーツチームで、足関節捻挫についてのレクチャーも行ってきました。
変形性足関節症
足首の関節の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、動かしにくさが出る病気です。膝や股関節に比べると少ないものの、過去の骨折や、繰り返した捻挫による靭帯のゆるみが原因になることが多いのが特徴です。歩き始めや長く歩いたあと、坂道や階段で足首が痛みます。治療は、痛み止めや注射、足首を支えるサポーターや足底板(靴の中敷き)で負担を減らし、リハビリで足首まわりの筋力や動きを保ちます。昔の捻挫や骨折のあと、足首に違和感が残っている方は、一度状態を確かめておきましょう。
足底腱膜炎
朝起きて最初の一歩を踏み出したとき、かかとに激痛が走る。しばらく歩くと痛みがやわらぐけれど、長く立っていると、また痛くなる。そんな症状がある方は、足底腱膜炎かもしれません。
なぜ、かかとが痛むのか
足の裏には、かかとの骨から足の指の付け根まで扇状に広がる「足底腱膜」という丈夫な膜があり、土踏まずのアーチを支えています。長時間の立ち仕事やランニング、体重の増加、加齢による柔軟性の低下などで、この膜のかかと側の付け根に繰り返し負担がかかり、炎症が起こります。40~60代の方や、マラソンなどのスポーツをする方に多く見られます。
治療とセルフケア
ふくらはぎや足の裏のストレッチを続けることが、治療の基本です。朝、布団から出る前に足首をゆっくり動かしたり、タオルを足の指にかけて引っ張ったりしてから立ち上がると、最初の一歩の痛みがやわらぎます。クッション性のある靴や、アーチを支える中敷きを使うのもおすすめです。痛みが強い場合は、湿布や痛み止め、注射、物理療法なども組み合わせます。良くなるまでに数か月かかることもありますので、焦らずに治療を続けていきましょう。
扁平足
土踏まずのアーチが低くなり、足の裏が平らになった状態です。小さなお子さんは、もともと土踏まずがはっきりしておらず、成長とともに自然にアーチができてくることがほとんどです。大人の場合は、加齢や体重の増加で、アーチを支える腱が弱くなって起こることがあり、足が疲れやすい、足の内側やくるぶしのまわりが痛むといった症状が出ます。アーチを支える足底板や、足の裏の筋肉を鍛える運動で、足への負担を減らしていきます。お子さんの歩き方が気になる、すぐに疲れて歩きたがらないという場合も、一度診せてください。
アキレス腱断裂
ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱が、切れてしまうけがです。バレーボールやバドミントン、テニスなど、ダッシュやジャンプの多いスポーツをする30~40代の方に多く、「後ろから誰かに蹴られたような衝撃を感じた」と話される方がよくいらっしゃいます。つま先立ちができない、歩くときに地面を蹴れないといった症状が出ます。治療には、手術をする方法と、ギプスや装具で足首を固定して腱がつくのを待つ方法があり、年齢や活動量、ご希望に合わせて選びます。どちらの方法でも、再断裂を防ぎながら元の生活やスポーツに戻るには、時間をかけたリハビリが欠かせません。手術を選ばれる場合は、手術を行う医療機関へご紹介します。
外反母趾
足の親指が小指の方向に「くの字」に曲がり、親指の付け根の関節が内側に出っ張ってくる状態です。出っ張った部分が靴に当たって、赤く腫れたり痛んだりします。つま先の細い靴やヒールの高い靴、足の筋力の低下、扁平足、生まれつきの足の形などが関係しており、女性に多く見られます。
靴と、足の運動を見直しましょう
外反母趾は、ゆっくりと進行します。つま先にゆとりがあり、かかとがしっかりした靴を選ぶことが、進行を防ぐための第一歩です。足の指でグー・パーをする、床に置いたタオルを足の指でたぐり寄せるといった、足の筋肉を鍛える運動も取り入れましょう。当院では、変形の程度をレントゲンで確認し、足底板や装具、リハビリで痛みをやわらげていきます。靴を工夫しても痛みが強く、日常生活に困る場合は、手術を行う医療機関へご紹介します。